世界はそれを愛と呼ぶ
ꕤ︎︎
─父に見送られたあと、足早に御国家へ向かうと、先に父が連絡しておいてくれたらしい。
話が早く、綺羽は御国家当主の元へ案内された。
「話は、仁成より聞いています。此度の件もまた、御園御当主より説明を受けております。勿論、手をお貸し致しましょう」
「助かります。心より感謝致します」
上座に座る当主・御国響(ミクニ ヒビキ)様は優しく微笑んで。
「─また、遊びにいらっしゃい。綺羽ちゃん」
早急でなければ、昔のようにお菓子を食べれたのか。
優しい、明るい親戚のおばさんのように接してくれる、親しみやすい御国家当主様。
母を亡くした綺羽に優しく、可愛がってくれる彼女は堅苦しいのが苦手と言いながら、きちんと、形式に則ったやり方で、綺羽を援護してくれるので有難い。
(そういう細かなところを攻撃してくる、馬鹿どもしかいないからな……)
付け入る隙を与えないよう、動いてくれることに感謝しつつ、使用人に案内された先。
「─綺羽」
部屋の中で衣服を整えながら、微笑む青年に、綺羽は目を見開いた。
「柚琉(ユズル)……まさか、あなたがつくの?」
訊ねると、彼は優しく微笑んで頷く。
「僕と兄さん、あとは、御国の者が」
そういう彼─御巫柚琉は、御国と並ぶ、御園の分家たる御巫家当主の孫であり、綺羽の恋人だった。
「どうして……貴方に危険なことはさせられないのに」
「君はいつもそう言うけど、僕は君と対等でいたい。君の恋人にしてくれた時、そう約束しただろう?」
優しく頬に触れてくる彼の手は温かく、久々に感じる恋人の温もりに、綺羽はほっとする。
「でも、私は華宮家の人間。いずれ、当主になる人間だわ」
「良いじゃない。僕が華宮家に婿入りするよ。華宮柚琉になって、当主の君を夫として支えたい」
「……」
「どうして驚いた顔をしているの?もしかして、僕以外に好きな人でも出来たの?そうなると、話は変わってくるんだけど……」
はっきりと宣言されたことに驚いて固まっていると、とんでもない想像をし始めた柚琉に。
「何言ってるの!私は貴方一筋よ。知っているでしょう。私が、不貞行為を嫌悪していること」
「うん、でも、人の心はままならないだろう?」
「……馬鹿ね、貴方より他の人間を選ぶメリット、私には無いわ。それより、お兄様って」
綺羽が問いかけた時、
「─入っても?」
と、外から声を掛けられた。
「大丈夫だよ、兄さん」
柚琉がそう言うと、障子が開いて。
「良かった。君達ふたりと、御国の人間だけでも良かったのだけど……ふたりはまだ未成年っていう点を考慮してね、僕がお目付け役になったんだ」
「そうなんですね」
「ごめんね。二人っきりにしてあげられなくて……」
「お気になさらず!」
申し訳なさそうな久遠様に、思わず力んで返事してしまった綺羽に対し、
「任務だから当然だけど、少しは残念がっても良くない?」
なんて、冗談を言う柚琉。
「私は貴方といることで、落ちぶれたなんて言われたくないの」
彼と一緒にいられなくなるのは、絶対に嫌。
一緒にいることを認められる為にも、華宮家の次期当主としてうつつを抜かすわけには、折れるわけにはいかないのだ。
「私は華宮綺羽として、果たすべき役目があるから」
「……うん。僕、綺羽のそういうとこ、本当に好き」
そう言いながら、彼はどこか嬉しそうに綺羽の頭を撫でてくる。
─父に見送られたあと、足早に御国家へ向かうと、先に父が連絡しておいてくれたらしい。
話が早く、綺羽は御国家当主の元へ案内された。
「話は、仁成より聞いています。此度の件もまた、御園御当主より説明を受けております。勿論、手をお貸し致しましょう」
「助かります。心より感謝致します」
上座に座る当主・御国響(ミクニ ヒビキ)様は優しく微笑んで。
「─また、遊びにいらっしゃい。綺羽ちゃん」
早急でなければ、昔のようにお菓子を食べれたのか。
優しい、明るい親戚のおばさんのように接してくれる、親しみやすい御国家当主様。
母を亡くした綺羽に優しく、可愛がってくれる彼女は堅苦しいのが苦手と言いながら、きちんと、形式に則ったやり方で、綺羽を援護してくれるので有難い。
(そういう細かなところを攻撃してくる、馬鹿どもしかいないからな……)
付け入る隙を与えないよう、動いてくれることに感謝しつつ、使用人に案内された先。
「─綺羽」
部屋の中で衣服を整えながら、微笑む青年に、綺羽は目を見開いた。
「柚琉(ユズル)……まさか、あなたがつくの?」
訊ねると、彼は優しく微笑んで頷く。
「僕と兄さん、あとは、御国の者が」
そういう彼─御巫柚琉は、御国と並ぶ、御園の分家たる御巫家当主の孫であり、綺羽の恋人だった。
「どうして……貴方に危険なことはさせられないのに」
「君はいつもそう言うけど、僕は君と対等でいたい。君の恋人にしてくれた時、そう約束しただろう?」
優しく頬に触れてくる彼の手は温かく、久々に感じる恋人の温もりに、綺羽はほっとする。
「でも、私は華宮家の人間。いずれ、当主になる人間だわ」
「良いじゃない。僕が華宮家に婿入りするよ。華宮柚琉になって、当主の君を夫として支えたい」
「……」
「どうして驚いた顔をしているの?もしかして、僕以外に好きな人でも出来たの?そうなると、話は変わってくるんだけど……」
はっきりと宣言されたことに驚いて固まっていると、とんでもない想像をし始めた柚琉に。
「何言ってるの!私は貴方一筋よ。知っているでしょう。私が、不貞行為を嫌悪していること」
「うん、でも、人の心はままならないだろう?」
「……馬鹿ね、貴方より他の人間を選ぶメリット、私には無いわ。それより、お兄様って」
綺羽が問いかけた時、
「─入っても?」
と、外から声を掛けられた。
「大丈夫だよ、兄さん」
柚琉がそう言うと、障子が開いて。
「良かった。君達ふたりと、御国の人間だけでも良かったのだけど……ふたりはまだ未成年っていう点を考慮してね、僕がお目付け役になったんだ」
「そうなんですね」
「ごめんね。二人っきりにしてあげられなくて……」
「お気になさらず!」
申し訳なさそうな久遠様に、思わず力んで返事してしまった綺羽に対し、
「任務だから当然だけど、少しは残念がっても良くない?」
なんて、冗談を言う柚琉。
「私は貴方といることで、落ちぶれたなんて言われたくないの」
彼と一緒にいられなくなるのは、絶対に嫌。
一緒にいることを認められる為にも、華宮家の次期当主としてうつつを抜かすわけには、折れるわけにはいかないのだ。
「私は華宮綺羽として、果たすべき役目があるから」
「……うん。僕、綺羽のそういうとこ、本当に好き」
そう言いながら、彼はどこか嬉しそうに綺羽の頭を撫でてくる。