世界はそれを愛と呼ぶ
☪︎
「─沙耶」
普通なら、車で三時間はかかる距離。
相馬に抱かれて、飛んで、20分弱。
相変わらず、相馬の力は凄いなあって思いながら、降り立った御園本家。
恐らく、街一つ分。
某ランドが2、3個は入りそうな膨大な土地。
大門で相馬を発見した門番らしき人が、すぐに車を出してくれて、相馬は運転席に乗り込んだ。
「え、運転出来るの?」
「……敷地内だから」
目を逸らすあたり、そういうことである。
高校生なのだから、当たり前だが。
「怖いか?」
「ううん」
相馬のことは信用しているので、特に何も心配していない。相馬のことだから、そつなくこなすだろうし。
沙耶は助手席に乗り込み、シートベルトをつける。
「……」
─結論から言うと、相馬はとても運転が上手かった。
出来ないことはないのだろうか、と、本気で相馬の出来ないことを探してみたい欲に駆り立てられつつ、超安全運転だが驚く速度で着いた、玄関。
玄関というより、もはや門。
知ってはいたが、本当に大きい家である。
本家が宮殿に匹敵するというか、庭を車で移動しなければならないのも謎だし、四季折々の庭、鯉の泳ぐ大きな家、鹿威し、どこまでも続く廊下、屋根、あちこちに建つ倉庫……。
「いつか住むことになったら、その時はちゃんと案内するから」
相馬はそう言ってくれるが、自分は覚えられるだろうか。……なんて、既に結婚が確定であることを再度自覚しつつ、沙耶は相馬に導かれるまま、玄関に足を踏み入れた。
「相馬!?あんた、なんで……」
「綺羽達が、例の施設に侵入した」
「はっ?」
「夏の王が囚われているらしい。……けしかけたのは、総一郎兄さんらしくて」
相馬の言葉に、目を見開くお姉さん。
「俺はとりあえず、そこへ行ってくる。……間違いなく、施設で俺を見つけたら、黒橋の街の方へ、沙耶を探しに来る連中はいる」
「だから、沙耶ちゃんを連れてきたの?」
「うん」
相馬はそう言うと、私に微笑みかけてくる。
「ちゃんと街も守るし、帰ってくるから。ここで守られていてほしい」
「一緒に行かなくていいの?」
「うん。……少し頑張ってくるから、俺が帰ってきたら、抱きしめて欲しい」
「……」
手を伸ばして、頬に触れる。
頬を手に寄せてくる相馬が考えた結果なら、沙耶は従うだけ。─沙耶がついて行っても足手まといになる未来は見えているし。
「わかった。無事に帰ってきてね」
「ん、約束する」
─相馬はそう言うと、沙耶の頭を撫でた。
「あ、相馬、街のことは私に任せてくれる?」
「え、でも」
「大丈夫。私の街よ?私、あの街のことはよく知ってるの。だからね、私に任せて」
正直、やめて欲しい異名だが、あの街では【姫】として扱われている沙耶にとって、街全体の動きを計算するのは難しいことでもない。
「お父さんも忙しいままなんでしょう?大樹兄達は基本、まだお父さんの指示がないと動かないの。奇襲される可能性があるなら、徹底的に捕まえなくちゃ」
「と言っても、沙耶……」
「大丈夫。黒宮家の人間は皆、学校の体育は最高成績を収めているから。それに、私は基本、お父さんの指示を仰いで動いたことない」
相馬はその目で見たことがないから知らないだろうが、沙耶も属する体育のクラスは、地上に基本、足を付いて活動することはない。
かなり本格的なトランポリンが敷き詰められ、その上で、バク転などを繰り返し、宙で過ごす。
天井も高めに作られているから、何回転しても問題がない作りになっているし、跳び箱なども10段越えが用意されており、壁を走ったり、止まらずにバク転し続けたり、簡単に言えば、恐れ知らずの運動神経が良いバカが集まっている。
自信満々にそう言うと、
「体育の難易度の高さは調べたから知っているが……健斗さんのためにも、俺の為にも、例え指示に従わなくても、報告だけは頼むな……」
と、心配そうな顔で見られた。
「うん。報告はするよ。と言っても、今回はこの家でお世話になりながら、指示を出すだけ。私は1回だけの指示にするよ。後は向こうが、結が上手くやってくれるし……お父さんにも私が指示するって連絡しておく!」
「うん。─姉さんも忙しいと思うけど、悪い。沙耶を守ってくれ。頼む」
相馬がそう言うと、お姉さんは優しく頷いて。
「─沙耶」
普通なら、車で三時間はかかる距離。
相馬に抱かれて、飛んで、20分弱。
相変わらず、相馬の力は凄いなあって思いながら、降り立った御園本家。
恐らく、街一つ分。
某ランドが2、3個は入りそうな膨大な土地。
大門で相馬を発見した門番らしき人が、すぐに車を出してくれて、相馬は運転席に乗り込んだ。
「え、運転出来るの?」
「……敷地内だから」
目を逸らすあたり、そういうことである。
高校生なのだから、当たり前だが。
「怖いか?」
「ううん」
相馬のことは信用しているので、特に何も心配していない。相馬のことだから、そつなくこなすだろうし。
沙耶は助手席に乗り込み、シートベルトをつける。
「……」
─結論から言うと、相馬はとても運転が上手かった。
出来ないことはないのだろうか、と、本気で相馬の出来ないことを探してみたい欲に駆り立てられつつ、超安全運転だが驚く速度で着いた、玄関。
玄関というより、もはや門。
知ってはいたが、本当に大きい家である。
本家が宮殿に匹敵するというか、庭を車で移動しなければならないのも謎だし、四季折々の庭、鯉の泳ぐ大きな家、鹿威し、どこまでも続く廊下、屋根、あちこちに建つ倉庫……。
「いつか住むことになったら、その時はちゃんと案内するから」
相馬はそう言ってくれるが、自分は覚えられるだろうか。……なんて、既に結婚が確定であることを再度自覚しつつ、沙耶は相馬に導かれるまま、玄関に足を踏み入れた。
「相馬!?あんた、なんで……」
「綺羽達が、例の施設に侵入した」
「はっ?」
「夏の王が囚われているらしい。……けしかけたのは、総一郎兄さんらしくて」
相馬の言葉に、目を見開くお姉さん。
「俺はとりあえず、そこへ行ってくる。……間違いなく、施設で俺を見つけたら、黒橋の街の方へ、沙耶を探しに来る連中はいる」
「だから、沙耶ちゃんを連れてきたの?」
「うん」
相馬はそう言うと、私に微笑みかけてくる。
「ちゃんと街も守るし、帰ってくるから。ここで守られていてほしい」
「一緒に行かなくていいの?」
「うん。……少し頑張ってくるから、俺が帰ってきたら、抱きしめて欲しい」
「……」
手を伸ばして、頬に触れる。
頬を手に寄せてくる相馬が考えた結果なら、沙耶は従うだけ。─沙耶がついて行っても足手まといになる未来は見えているし。
「わかった。無事に帰ってきてね」
「ん、約束する」
─相馬はそう言うと、沙耶の頭を撫でた。
「あ、相馬、街のことは私に任せてくれる?」
「え、でも」
「大丈夫。私の街よ?私、あの街のことはよく知ってるの。だからね、私に任せて」
正直、やめて欲しい異名だが、あの街では【姫】として扱われている沙耶にとって、街全体の動きを計算するのは難しいことでもない。
「お父さんも忙しいままなんでしょう?大樹兄達は基本、まだお父さんの指示がないと動かないの。奇襲される可能性があるなら、徹底的に捕まえなくちゃ」
「と言っても、沙耶……」
「大丈夫。黒宮家の人間は皆、学校の体育は最高成績を収めているから。それに、私は基本、お父さんの指示を仰いで動いたことない」
相馬はその目で見たことがないから知らないだろうが、沙耶も属する体育のクラスは、地上に基本、足を付いて活動することはない。
かなり本格的なトランポリンが敷き詰められ、その上で、バク転などを繰り返し、宙で過ごす。
天井も高めに作られているから、何回転しても問題がない作りになっているし、跳び箱なども10段越えが用意されており、壁を走ったり、止まらずにバク転し続けたり、簡単に言えば、恐れ知らずの運動神経が良いバカが集まっている。
自信満々にそう言うと、
「体育の難易度の高さは調べたから知っているが……健斗さんのためにも、俺の為にも、例え指示に従わなくても、報告だけは頼むな……」
と、心配そうな顔で見られた。
「うん。報告はするよ。と言っても、今回はこの家でお世話になりながら、指示を出すだけ。私は1回だけの指示にするよ。後は向こうが、結が上手くやってくれるし……お父さんにも私が指示するって連絡しておく!」
「うん。─姉さんも忙しいと思うけど、悪い。沙耶を守ってくれ。頼む」
相馬がそう言うと、お姉さんは優しく頷いて。