世界はそれを愛と呼ぶ
響く機械音。
繋がれた彼女は、眠り姫のように横たわる。
触れると、まるで既に亡くなっているかのように冷たくて、相馬は彼女を連れ出すため、彼女の額に手を当てた。
彼女の肉体の限界的にも少しだけしか与えられないが、ちゃんと設備の整った場所に移動するだけの時間は稼げるだろう。
ここの医療機器だけ、また別電源で動いていることを驚きつつ、彼女を抱える。
(彼女が死ぬと都合が悪いのか?……世間的には既に殺し、徹底的にあの家族を追いやったのに?)
生きていてくれてよかったと思う反面、何故、早くに消していなかったんだとも思う。
わざわざ生かしておく意味が、彼らにあったのか。
(……深く考えるのは、後でいいか)
相馬は考えることをやめ、また、ガラス窓を蹴破った。
自分の人外離れの身体に感謝だ。
遠くから聞こえてくる足音を聴きながら、相馬は彼女を抱えたまま、15階から飛び降りた。