世界はそれを愛と呼ぶ
「─勿論。帰ってくるよ」
陽向の返答に満足気に笑った莉華は、
「あ、そうそう。沙耶ちゃん」
相馬と仁知華の様子を見ていた沙耶が、顔をあげる。
「?、どうしましたか?」
相馬が不在の間、仲良くやっていた沙耶。
あっという間に、警戒心が強めの莉華と仲良くなった沙耶は莉華の傍によってくる。
「あのね、2、3日前からね、この家、あちこちから襲撃にあっているんだけど」
「襲撃」
「そう。まぁ、それはこの屋敷の内部で起こっているから、簡単に握り潰せるしいいんだけど、それですごく活躍してくれている夏鶴くんと冬璃くんが、沙耶ちゃんに会わせろって」
「なるほど?」
「すっごく強いのね、あのふたり」
「そうですねぇ……黒宮家の幹部だから、まあ?」
沙耶のかなり腑に落ちてない反応に、莉華はくすくす笑う。
「今はね、守宮家の皆様と、門の近くでバトミントンしてるわ」
「平和だな」
「フフッ、でしょう」
にっこにこの莉華は、夏鶴と冬璃が気に入ったのだろう。
妻の楽しそうな姿に、陽向も思わず顔が綻ぶ。
「私は何の役にも立てないから、ちゃんと隠れていたの。そうしたらね、あのふたりが一掃してくれて」
「私達は、国の所有物ではないので。割と好き勝手に生きてきた分、強いんですよね」
「そうよね。国より一方的に見捨てられたから、国側がその身勝手さを指摘する権利もないものね」
「ええ」
だからこそ、許された範囲でしか人を救えない警察とは違い、黒宮家はどこまでも自由に、己の気持ちを優先して、その決断を下すことができる。
「─あっ、沙耶!」
ここ数日、相馬が回復するまでの間。
その間、御園の懐刀が動くより前に、陽向達が動くより先に、相手を地に沈めてくれた彼らはバトミントンのラケットを片手に、沙耶に駆け寄ってくる。
「おはよう」
「おはよう。冬璃、バトミントン、楽しい?」
「うん。意外とやりがいがある」
「そっか。夏鶴は?」
「楽しいよ。普通の学生って、こういうことをするんだって。初めて知った」
「そう」
2人の頭を片手ずつ、優しく撫でる沙耶。
敵をなぎ倒していた姿からは想像もできない、忠犬ぶり。