世界はそれを愛と呼ぶ
「─それで?」
「「え?」」
「私に報告があるでしょう?」
沙耶に微笑みかけられて、ふたりは目を丸くする。
「うーん……まあ、色々とあるけど」
「そう。じゃあ、ひとつずつ話して?」
「それはいいけど……多分、ちゃんと腰据えて話した方が良いと思う」
「うん!俺もそう思う!」
─突如、割り込んできた声。
元気いっぱいな声。ニカッと笑う青年。
それを見て、沙耶は首をかしげた。
「……貴方、どこかで会ったことある?」
「ううん!ないよ!!」
「そう……お名前は?」
「イト!─…ん〜、やっぱ、このテンション、疲れるから〜普通に話そっ!」
青年はすうっと、1度、深呼吸をすると。
「─改めまして、常盤絃(トキワ イト)です。沙耶さんには、幼い頃から弟がお世話になってますっ♪」
沙耶は瞬間、「どれだ?」という顔をした。
それはそうである。あまりにも、該当者が多い。
「というか、常盤って─……」
「─ご安心を、沙耶様、相馬様。この男は夏の家、常盤家とは血縁関係はございません」
沙耶の疑念を晴らすように現れた、ふたり。
「イロハ!ユズル!」
「こら、イト。御当主様たちの前では良い子にしていないといけないよ。ちゃんと、そこら辺の常識や礼儀はきちんと頭に入っていたし、身につけていただろう?」
「ごめ〜んっ!だって、目の前に”彼女”がいるから」
そう言って、沙耶を指差すイト。
そのイトの頭を叩く、イロハ。
「っ、いったーい!」
「本当にっ、お利口にしなさい!」
すごく怒っている、春の家の当主息女・華宮綺羽。
ならびに、くすくす笑う御巫柚琉。
「まあまあ、身内の場だから、そんなに気を張るな。敵意はないだろ?」
相馬がそう言うと、「ないよ!」と、良い笑顔。
「そうか。─ところで、君の弟の名前は創祐(ソウスケ)というんじゃないか?」
相馬はイトの頭を撫でながら、そう訊ねる。
「ソウスケ……?はわからんけど、ソウちゃんって呼んでたよ!」
「そうか。……君の血縁が視える。ほぼ、間違いない。君は創祐の双子の兄だな」
「君が言うなら、そうかも!」
相馬の横で、目を見開いている沙耶。
「……あいつの兄なら、読めないのも当たり前だ」
ボソッ、と、沙耶が呟いた言葉を、陽向は聞き逃さなかった。