空に還る。
「またかの子に会いたかね。お嬢さんになったかの子も見てみたか」

「きっと叶うよ」

私達は神社の石、元防空壕跡地を取り囲むようにして立った。
きっちゃんがその上に上る。

「あんず」

「うん」

「出逢えて良かった」

「私も」

「やけどさ、もし戦火に焼かれて死ぬんやったら、ちゃんと家族と同じ場所で、ちゃんと死にたかと。願わんかったら本当はとっくに死んどったとやろうね。もっかいちゃんとあの場所で死んでくるけん。また生まれ変わったら家族に出逢えるようにな。こげん違う世界で一人で死んでしまったら僕だけ迷子になってしまうばい」

「死ぬことば信じんで。生きることば信じてよかと。誰もが、生きたいって思うことば許されとるとよ。やけん生きて、また私と出逢って」

「…そうやね。二人もありがとう。みんな、どうか元気で」

「きっちゃん…逢えてよかったばい。俺、一生忘れんけん」

「生きて…生きてね、きっちゃん」

「あんず。もしあっちで死んでしまったら、あんずがここで死ぬまで、生まれ変わるとは待っとくけん」

「なんで?」

「おんなじタイミングで生まれ変わったら同じ時代で生きられるかもしれんやろ」

「そっかぁ」

「僕がお前ば嫁さんにしとるかもしれんしな」

「ばーか」
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