取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
 警察は最後の手段にしよう。別の線から考えないと。でも、どこから……。
 そうしてまた思い出す。
 隠れるようにして千景と会っていた男性。彼がなにかを知らないだろうか。

 心を隠している千景に聞いてもなにも教えてくれないだろう。
 まずは保護猫団体に男性のことを聞いてみよう。

 優維はスマホで神社のメールにログインし、記録のある保護団体に似た背格好の男性がいないか、あの日に神社に来た男性がいないか、確認のメールを送った。
 聖七にもネットオークションのURLと出品者の連絡先をメッセージで尋ねた。

 あとは、と考える。
 窃盗なら、犯人は本殿に忍び込んで盗んだことになる。

 夜の本殿は鍵がかけられている。鍵は壊されていなかったから、プロの犯罪者か鍵を持ち出せる人物が犯人、もしくは共犯ということになる。

 プロだと考えた場合、賽銭泥棒すら現れない貧乏な神社をターゲットにするとは思い難い。
 海外で日本の仏像や神像が人気だというがそういうのはたいてい海外からの窃盗団であり、やり口は荒っぽいはずだ。
だが、鍵もなにも壊されていなかった。

 では、神社の鍵を持ち出せる人物が犯人である可能性が高いことになる。
 鍵を持ち出せるのは自分と直彦と千景。直彦も千景も犯人のはずはない。

 優維はため息をついた。
 これでは堂々巡りだ。
 やはり行きずりの犯行だろうか。
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