取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
 迷った挙句、優維は自分も話がしたい、とメッセージを返した。
 ネットオークションのサイトは猫の神像の画像で画像検索をかけ、なんとかサイトを見つけ出した。
 さらなる手掛かりを求めてサイトを必死に確認し、違和に首をかしげた。



 そわそわと平日を過ごした。
 手がかりとなる人物を見つけたかもしれない緊張と千景がいなくなる悲しみ、早く真相を知りたい焦燥が入り混じって優維を焦がす。

 千景にも伝えたいのに、違っていたときのことを考えると言えない。
 土曜日の午後遅く、千景はスーツケースを持って玄関に向かう。
 優維は一緒に玄関まで行き、千景を見上げる。

 もう二度と会えないかもしれないのに、なにも言葉が浮かばない。
 ひきとめたい。だけどそれでは彼の善意を無にしてしまう。

「本当は空港まで見送りに行きたいけど」
 だが、そうすると真犯人探しが遅くなってしまう。だからあきらめた。
「そういうのはやめてくれ」
 声はどこか冷たく響いた。

「ごめん」
 謝ると、彼はふうっと息をついた。

「じゃあ、行って来る」
「行ってらっしゃい。お元気で」
 彼がなんでもないような雰囲気でいるので、優維も必死に表情を――笑顔を繕った。
 彼はじっと優維を見たあと、背を向けて歩き出す。
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