取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
 店内は広々として落ち着いた雰囲気が漂っている。暗いトーンの絨毯に白いテーブルクロスが映え、穏やかに流れるクラシックに着飾った人たちの静かな会話が混ざる。
 入口で聖七が名前を告げると、店の奥へと案内された。
 店員が個室の扉を開けるとその先は薄暗くて、優維は不安に聖七を見る。

「どうぞ」
 聖七が笑顔で促すので、不安とともに一歩を踏み出す。
 瞬間、足元から光が広がった。
 ふわっとやわらかい光が空間に満ちたのち、また薄暗くなる。

「今のって」
 驚いて振り返ると、聖七がにこやかに足を踏み出す。
 彼の一歩でまた光がふわりと広がり、消えた。

「席はあちらですよ」
 部屋の中心のテーブルに、ステンドグラスの光のように七色の花模様が落ちている。
 一緒に歩いて行くと、徐々に部屋が明るくなっていく。まるで夜明けのようだ。

 部屋の奥にはロココ調らしき大きなソファがあった。白い生地は金で縁どられ、猫足がかわいい。ソファの前には同じ色調の猫足のローテーブル。

 中心のテーブルに着席した直後、幻想的な景色が広がった。
 床には一面の花畑。壁には同じく花畑と、遠くには雪を被った山がそびえている。壁の上方から天井にかけては青空が広がり、小鳥がかわいらしい鳴き声とともに飛んでいく。

「プロジェクションマッピング?」
「そうですよ」
 彼はにこやかに給仕に合図して、給仕は頷いて下がる。
< 118 / 148 >

この作品をシェア

pagetop