取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「君は何もしなくていい。俺に任せて」
 声は低いのに糖度は高くて耳がとろける。彼女を見下ろす黒い瞳が彼女の温度を上げる。
 千景は優維を抱き上げるとゆっくりとベッドに寝かせ、その上に覆いかぶさる。

 彼女の鼓動は激しく胸を打ち、全身が緊張にこわばる。
 彼が近付いて来て、優維は目を閉じた。唇からやわらかく温かな感触が伝わった直後、彼の舌が入ってきた。

 背筋がぞくぞくっとして、彼女は思わず逃れようと体を動かす。
 だが、彼は逃さず舌をからめ、優維の歯茎を撫で、歯列をなぞる。体の奥が歓喜するようにうずき、初めての感覚に彼女は混乱した。

「んん――!」
 やめて、という言葉は声にならずに漏れた。離れた千景はぺろりと唇を舐める。

「かわいいな」
 彼は指先で優維の唇をそろりとなぞる。それだけでまた背が甘く震え、彼女はそんな自分を信じられない思いでいた。逃げたい、だけど逃げたくない。彼のくれる甘美な震えがもっとほしい。

 どうかしてしまっている。千景の指が唇が、自分をおかしくする。
 隠そうともしない情欲に満ちた彼のまなざしに、ぞくぞくするのを止められなかった。

「駄目……お願い、許して」
「そんなに俺が嫌なのか」
「お願い、もう少し待って。私……」
 優維は恥ずかしさに目を伏せ、それからぼそりと言った。

「私、したことないの」
 優維の告白に彼が息を飲むのがわかった。
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