取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「君は意外に保守だな。それではいつまでたっても改革できないが?」
 からかうように言われて、優維は少なからずむっとした。
 小さい頃から神社のことを考え、神の嫌う穢れを持ち込まないように過ごして来たのに、それを知らない彼に言われたくはない。
 とはいえ、彼の言うことにも一理ある。

「じゃあ、お父さんがいいって言ったらね」
「ありがとう」
 彼は嬉しそうに言い、さっと周りを見回した。
 つられて見回した優維の頭をぐいっと引き寄せて触れるだけのキスをする。

「ちょっと!」
「嬉しくてつい」
「もう、ここは神域なんだからやめてよね」
 神社の敷地はすべて神域だ。
 頬を赤く染めて抗議すると、彼はやわらかな笑みに色気を漂わせた。

「神様はそんな狭量じゃないだろ」
「屁理屈よ」

「神様だって恋も結婚もしてるのに」
「だけど、やめて」

「……努力する」
「努力って」
「君が魅力的すぎるから、我慢がきかないかもしれない」
 また千景が手を伸ばしたときだった。
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