取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「そうだね、私、駄目だなあ」
 優維はため息を落とした。
「君は自分を犠牲にして神社を守ろうとしたんだ、神様だってわかってるよ」
「そうかなあ」

「少なくとも俺はわかってる」
 やわらかなまなざしに、優維の胸がトクンと鳴った。

「君はもっと楽になっていい。俺を頼ってくれ」
「ありがとう」
 なんだか胸が温かくなってふわふわしてしまい、食事の味がわからなくなってしまった。



 同居生活は思った以上に順調で、千景のいる生活にすんなりと馴染んだ。まるで最初から一緒に住んでいたかのようにすら思える。
 彼は直彦から保護猫譲渡会を行う許可をもらい、投稿サイトの運営と同時に保護猫団体に連絡をとり、翌六月には譲渡会を行う手筈を整えた。

 その翌週には毎年恒例の巫女舞の発表会があるから、並行して巫女舞保存会に連絡をとり、夕食時に進捗を報告をしてくれた。
 ほかにも、町内会に参加したり、商店街と連携するために振興組合と連絡をとり、震災時には地域支援ができるように見直そうとしている。

 あれこれやってくれることに感謝するものの、自分はなにもできていないことが歯がゆい。
 だが、平日は会社員をしているのだからと彼も父も優維にはなにも任せてくれない。
 退職して神社の仕事に専念したいが、そこまで忙しくもないし潤ってもいない。
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