取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
冷房の利いた社務所の応接スペースに招き入れ、千景は聖七と向かい合って座る。
遅れて入ってきた優維は麦茶の入ったコップをお盆に載せていた。
「さきほどはありがとうございます」
テーブルにお茶を置いてから、千景の隣に座る。
「いいえ、父がすみません。文句を言ってやると言って出て行ったので、慌てて追いかけて来たんです。親ばかな父でお恥ずかしい」
「でも今になってどうして」
「父はあなたを気に入っているんです。あなたが結婚したことで怒りがくすぶっていたところ、イベントをやっていると知って爆発したようです」
ずっとこらえていたものがふとしたきっかけであふれることは優維にも経験がある。だが、よりにもよって今日とは。
「私、杜澤さんのお父さんに会ったのは二カ月前が初めてだったんですが」
「清楚で美しくて優しくて、誰でも一目であなたを気に入ると思います」
「そんなことないです」
褒められ慣れていないので、優維は照れて俯いた。
その様子に、千景の顔から表情が消える。
「あなたのお父様の行動は、威力業務妨害に該当する可能性があります」
口調は断固として厳しかった。
「そうですね。本当に申し訳ないです」
「千景くん、謝ってくれてるんだから」
千景の目がぎらりと光り、優維は一瞬、身を引いた。