取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「優維さん、おいしいお茶をありがとう。また会いましょう」
 言って、彼は立ち上がる。
「お送りします」
 とっさに立ち上がる優維に、彼はにっこりとさわやかに笑む。

「けっこうですよ。旦那様の嫉妬が怖いですからね」
 追いかけることもできず、去っていく聖七を見送ってから千景を見る。
「まったく、危なっかしい」
 千景は息をついて立ち上がり、優維を抱きしめる。

「ああいうときはすぐに呼んでくれ。俺がいないときは警察を」
「でも、なにも悪いことはしてないし……」
「恫喝されていた。怖かっただろう?」
 髪を撫でられ、優維は頷いて彼に頭をもたせかける。

「あの息子にも、優しくする必要なんてない」
「彼は止めてくれたのよ?」
「ヤクザが……正確には元ヤクザが脅しにきて、息子がさっと追い返す。マッチポンプを疑う場面だ」
 声に不満を感じて、優維はつと顔を上げる。

「嫉妬、したの?」
 聖七が言うまで、千景が嫉妬するなんて思いもしなかったのだが。
「……したけど、なにか」
 少し恥ずかしそうに、千景が目を逸らす。
 ふふ、と笑って優維は彼を見た。
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