取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「いやあ、本当に千景くんが婿に来てくれて良かった。亡くなった妻も喜んでると思う」
直彦は上機嫌で千景に言っている。
「ありがとうございます。私も優維さんと結婚できて良かったです」
千景の言葉に嬉しくなるが、なんとなく出て行きづらくなってしまった。
いったん部屋に戻ろうとしたときだった。
「君みたいな息子がほしいと思っていたんだ」
直彦の言葉に、優維は足を止めた。
これ以上聞いてはいけない。
そう思うのに、足が動かない。
「千景くんに跡を継いでもらいたい。優維は女だからな、神職になってほしくないんだ」
優維の顔から完全に血の気が引いた。
そろりそろりと足を進ませ、階段を上り、自室に入るとぺたんと座り込んだ。
現代では女性でも神職になれる。だからいつか資格を取って跡を継ぐつもりで直彦にもそう言って来た。
ずっと自分がそばにいたのに。巫女として社務員としてサポートして来たのに。
なのに、父が頼りにするのは来たばかりの千景。
彼は保護猫譲渡会を成功させ、その日はいつもの倍以上のお賽銭を得られた。
SNSの運用は順調だし、今後は保護猫譲渡会の開催時に出店を呼ぶなどしてもっと人を呼ぼうと計画している。彼の企画力、実行力を疑う余地はない。
平日は会社員で土日は神社を手伝っていれば、自然と友達とは疎遠になる。そうこうするうちに友達が結婚して、なおさら疎遠が加速する。
会社では誘われても家の仕事を理由に断ってばかりだから、特に仲の良い人はいない。
それでも神社を守りたい一心で頑張ってきた。
直彦は上機嫌で千景に言っている。
「ありがとうございます。私も優維さんと結婚できて良かったです」
千景の言葉に嬉しくなるが、なんとなく出て行きづらくなってしまった。
いったん部屋に戻ろうとしたときだった。
「君みたいな息子がほしいと思っていたんだ」
直彦の言葉に、優維は足を止めた。
これ以上聞いてはいけない。
そう思うのに、足が動かない。
「千景くんに跡を継いでもらいたい。優維は女だからな、神職になってほしくないんだ」
優維の顔から完全に血の気が引いた。
そろりそろりと足を進ませ、階段を上り、自室に入るとぺたんと座り込んだ。
現代では女性でも神職になれる。だからいつか資格を取って跡を継ぐつもりで直彦にもそう言って来た。
ずっと自分がそばにいたのに。巫女として社務員としてサポートして来たのに。
なのに、父が頼りにするのは来たばかりの千景。
彼は保護猫譲渡会を成功させ、その日はいつもの倍以上のお賽銭を得られた。
SNSの運用は順調だし、今後は保護猫譲渡会の開催時に出店を呼ぶなどしてもっと人を呼ぼうと計画している。彼の企画力、実行力を疑う余地はない。
平日は会社員で土日は神社を手伝っていれば、自然と友達とは疎遠になる。そうこうするうちに友達が結婚して、なおさら疎遠が加速する。
会社では誘われても家の仕事を理由に断ってばかりだから、特に仲の良い人はいない。
それでも神社を守りたい一心で頑張ってきた。