取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
そういえば、不動産をやっているといろんな話が入って来ると言っていた。
優維は千景と再会してから、彼をろくに知らないままに結婚した。そもそも高校時代だってただのクラスメートで、話をした記憶もない。
優維はどうしたらいいのかわからなくて、ただ便箋を見つめていた。
残業になる、と千景に嘘のメッセージを送ったのは翌日のことだった。
仕事を終えて聖七に電話をかけると、彼はすぐに出た。
『杜澤です』
「根古間ですけど……」
『優維さん、良かった』
いきなり名前で呼ばれ、言葉に詰まる。が、聖七はかまわず続ける。
『手紙、申しわけありません。旦那さまに知られずに連絡するにはあれしかなくて』
「いいえ。でも……」
『電話ではちょっと。今からお会いできませんか。迎えに行きますから』
そうなるのではないかと思っていたから、驚きはない。
「わかりました。でも人目のあるところでお願いします」
『もちろんです』
会社から少し離れた場所で待ち合わせると、彼はタクシーで現れた。
「話のできる場所に移動しましょう。もちろん、人目があるところですよ」
優維は少し迷ったが、タクシーに同乗した。運転手という第三者がいるのだから大丈夫だろうと思ったのだ。
到着したのはナイト営業をしている水族館だった。
優維は千景と再会してから、彼をろくに知らないままに結婚した。そもそも高校時代だってただのクラスメートで、話をした記憶もない。
優維はどうしたらいいのかわからなくて、ただ便箋を見つめていた。
残業になる、と千景に嘘のメッセージを送ったのは翌日のことだった。
仕事を終えて聖七に電話をかけると、彼はすぐに出た。
『杜澤です』
「根古間ですけど……」
『優維さん、良かった』
いきなり名前で呼ばれ、言葉に詰まる。が、聖七はかまわず続ける。
『手紙、申しわけありません。旦那さまに知られずに連絡するにはあれしかなくて』
「いいえ。でも……」
『電話ではちょっと。今からお会いできませんか。迎えに行きますから』
そうなるのではないかと思っていたから、驚きはない。
「わかりました。でも人目のあるところでお願いします」
『もちろんです』
会社から少し離れた場所で待ち合わせると、彼はタクシーで現れた。
「話のできる場所に移動しましょう。もちろん、人目があるところですよ」
優維は少し迷ったが、タクシーに同乗した。運転手という第三者がいるのだから大丈夫だろうと思ったのだ。
到着したのはナイト営業をしている水族館だった。