「「完全なる失恋だ」」と思っている夫婦ですが、実は相思相愛です!~無愛想な脳外科医はお人好し新妻を放っておけない~
すごいなぁ。私ひとりで、女の子をここに連れてきていたらこんなにスムーズに話は進まなかったかもしれない。
「これ」
「はい。あの、ありがとうございます」
私は携帯電話を受け取り、女の子の鞄にしまいながらお礼を伝えた。
すると彼が驚いたような顔をした。
「どうして君が謝るんだ? 彼女を助けたのは君だろう?」
「いいえ……実際はなにもできてませんから」
女の子を背負って病院へ行くといったけれど、私が連れてきていたらもっと時間がかかっていただろう。土地勘も力もない、やる気だけが空回りしていたはず。
「そんなことない。ほら」
彼の視線の先には、女の子が私の服の裾をぎゅっと握っている姿があった。
「彼女は、君がいてよかったと思っているはずだ」
そっけない言い方だったけれど、私を慰めたいという気持ちは十分伝わった。
何人かの待っている人がいて、診察の順番までまだ時間がかかりそうだ。
女の子の怪我してない方の手を握ってあげると、私に体を預けてきた。きっと今とても心細いに違いない。少しでも寄り添ってあげたい。
「あれ、もしかして南雲先生じゃないですか?」
白衣を着た男性医師が、私の隣に立つ男性に駆け寄ってきて話しかけている。
「あぁ、そうだが」
男性が途端に気まずそうにそっと視線を外している。
「先日の学会でご挨拶したかったんですけど、たくさんの人に囲まれてらっしゃったので」
彼も医師だったの?
話を盗み聞くなんてよくないと思うけれど、聞こえてくるのだからしかたない。
「そうですか」
相手の熱量と南雲先生と呼ばれた彼のテンションの違いがすごい。そっけないのは、誰に対してもらしい。
「先日の学会で発表された術式について詳しくお話を伺いたいのですが」
「いや、今はちょっと。申し訳ないが」
「あぁ、そうですよね。思わぬ人に思わぬところで出会って興奮してしまいました。あのもしよろしければ、後日でもいいので――」
「すまない、どうやら呼ばれたようだ」
女の子のところに、看護師さんがやってきた。
「俺も付き添おう」
女の子を抱き上げて、診察室の方に歩いていく。私もその背中を追いかけた。
診察室に入ってからも南雲先生の認知度は凄く、どうやら本当に偉いお医者様のようだ。
それなら女の子の診察に立ち会ってもらって安心だ。
「これ」
「はい。あの、ありがとうございます」
私は携帯電話を受け取り、女の子の鞄にしまいながらお礼を伝えた。
すると彼が驚いたような顔をした。
「どうして君が謝るんだ? 彼女を助けたのは君だろう?」
「いいえ……実際はなにもできてませんから」
女の子を背負って病院へ行くといったけれど、私が連れてきていたらもっと時間がかかっていただろう。土地勘も力もない、やる気だけが空回りしていたはず。
「そんなことない。ほら」
彼の視線の先には、女の子が私の服の裾をぎゅっと握っている姿があった。
「彼女は、君がいてよかったと思っているはずだ」
そっけない言い方だったけれど、私を慰めたいという気持ちは十分伝わった。
何人かの待っている人がいて、診察の順番までまだ時間がかかりそうだ。
女の子の怪我してない方の手を握ってあげると、私に体を預けてきた。きっと今とても心細いに違いない。少しでも寄り添ってあげたい。
「あれ、もしかして南雲先生じゃないですか?」
白衣を着た男性医師が、私の隣に立つ男性に駆け寄ってきて話しかけている。
「あぁ、そうだが」
男性が途端に気まずそうにそっと視線を外している。
「先日の学会でご挨拶したかったんですけど、たくさんの人に囲まれてらっしゃったので」
彼も医師だったの?
話を盗み聞くなんてよくないと思うけれど、聞こえてくるのだからしかたない。
「そうですか」
相手の熱量と南雲先生と呼ばれた彼のテンションの違いがすごい。そっけないのは、誰に対してもらしい。
「先日の学会で発表された術式について詳しくお話を伺いたいのですが」
「いや、今はちょっと。申し訳ないが」
「あぁ、そうですよね。思わぬ人に思わぬところで出会って興奮してしまいました。あのもしよろしければ、後日でもいいので――」
「すまない、どうやら呼ばれたようだ」
女の子のところに、看護師さんがやってきた。
「俺も付き添おう」
女の子を抱き上げて、診察室の方に歩いていく。私もその背中を追いかけた。
診察室に入ってからも南雲先生の認知度は凄く、どうやら本当に偉いお医者様のようだ。
それなら女の子の診察に立ち会ってもらって安心だ。