だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 私の呼吸が落ち着いてきた頃、和也さんが体を起こした。

 ベッドを下りて服を取り払うと、再び私に覆いかぶさりながら額に口づけた。
 それから、ゆっくりと私の中を支配していく。

「あっ、あっ……」

 達したばかりで敏感になっている体は、少しのことで快感を拾ってしまう。
 その反応を間近から見つめられているせいで、ますます羞恥心を煽られた。

「はあ」

 体を倒し、密着させながら和也さんが悩ましげに息を吐き出す。
 ひとつになれた喜びに、自分からも彼に抱き着いた。
 素肌の触れ合いが心地よい。彼の熱に包まれて、心も体も満たされていく。これまでの不安や葛藤は、もう私の心のどこにも見当たらなかった。

 しばらくして体を起こした和也さんが、まっすぐに私を見おろした。

「紗季」

 私を呼びながら、頬をするりとなでる。

「愛してる」

 そうささやきながら、ゆっくりと動き始めた。

 熱い視線に、一身に見つめられる。
 ずっと一緒にいたい。そんな気持ちで視線を返すと、彼は私に口づけてくれた。

 お互いの存在を確かめるように、そっと舌を絡ませ合う。口づけは徐々に深くなっていき、下腹部がせつなく疼き始めた。
 顔を離した和也さんが、瞼に口づけてくる。
 それから彼は、体を起こして動きを速めていった。

「きゃぁ……ああ……」

 徐々にせり上がってくる快感の渦に抗えず、悲鳴のような声をあげ続ける。
 理性はとっくに吹き飛び、私からも貪欲に和也さんを追い求めた。

 過ぎた快感は苦しくほどなのに、ずっとこうしていたいとも願ってしまう。
 そんなもどかしさと、愛する人とこうしていられる幸福感にじわりと涙が滲む。溢れた雫は、和也さんが唇で吸い取ってくれた。

 それから彼は大きな胸もとにすっぽりと私を抱き込み、一層激しく責め立て始めた。
 彼も限界が迫っているのだろう。私を抱きしめる腕に、さらに力がこもる。

「あ、ああぁ」

 ついに絶頂を極めて、きつく瞼を閉じる。
 和也さんはさらに私を揺さぶり、少し遅れて小さな呻き声をあげて動きを止めた。

「ずっと、一緒にいて」

 心地よい気怠さの中で、無意識に言う。

「ああ」

 短くそう返した和也さんは、隣に体を横たえて私を抱き寄せた。

「絶対に手放さない」

 彼の胸もとに頬を擦り寄せる。
 ようやく聞き取ったその言葉に安堵しながら、深い眠りに落ちていった。
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