だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 それから数カ月が経ち、私たちの立ち上げた新ブランドのプレスリリースを大成功のうちに終えていた。
 ターゲットとしていた二、三十代の女性の関心は、こちらの想定以上に高かった。インターネット販売を開始るすと、一部の商品は瞬く間に売り切れになったほどだ。

 しばらくして上がってきた売り上げなどの数字は、早い段階で目標を遥に越えていた。その結果にますますやる気を刺激される。
 すでに次のシーズンの商品作りが大詰めを迎えている。ここにたどり着くまで多忙を極めていたが、やっぱり仕事が楽しくてたまらない。

 さらにその先のシーズンに向けて全力でがんばれるよう、一段落をついた今、明日から少し長めの有休をとることにした。
 和也さんと夕食をともにしながら、いつものようにいろいろな話をする。

「私もどうしても欲しかったから、和柄のロングスカートを買っちゃった。韓国で和也さんが買ってくれた、白いブラウスとも相性がいいし。あっ、明日からの新婚旅行にも持っていくつもりなの」
「ずっと迷っていたからな。紗季は肌が白いから、あの深みのある色合いはよく似合うと思う」

 和也さんからそう言われると、うれしくて浮かれてしまう。
 片づけて終えて寝支度を整えると、明日に備えて今日は早めに寝ようと一緒にベッドに入った。

 新婚旅行の行き先はイタリアだ。もちろん観光がメインだけど、兄にも話していた通りファッションの本場でブティック巡りも予定している。考えただけで、ワクワクする。

 どんな旅になるのか想像をしているうちに、興奮して目が冴えてしまった。明日が楽しみで寝られないなんて、子どもみたいだ。

 寝返りを打って和也さんの方へ近づく。すでに寝ている、瞼を閉じた和也さんの顔をじっと見つめた。
 そのとき、不意に彼が私を抱き寄せた。どうやら無意識のようで、彼の穏やかな呼吸はわずかにも乱れない。
 それじゃあ遠慮なくと、和也さんの温もりを存分に感じさせてもらう。

 彼の胸もとに顔を埋めて思いっきり息を吸い込んだ途端に、胸が温かくなる。ここは私が一番安心できる場所だと、幸せを噛みしめた。
 こうしているうちに気分は静まり、少しずつまどろみ始める。

 意識が霞む中、最後の気力を振り絞って彼に抱き着くと、私を抱きしめる和也さんの腕にいっそうの力がこもった。



END
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