だって結婚に愛はなかったと聞いたので!~離婚宣言したら旦那様の溺愛が炸裂して!?~
 それから数カ月が経ち、私たちの立ち上げた新ブランドのプレスリリースを大成功のうちに終えていた。
 ターゲットとしていた二、三十代の女性の関心は、こちらの想定以上に高かった。インターネット販売を開始るすと、一部の商品は瞬く間に売り切れになったほどだ。

 しばらくして上がってきた売り上げなどの数字は、早い段階で目標を遥に越えていた。その結果にますますやる気を刺激される。
 すでに次のシーズンの商品作りが大詰めを迎えている。ここにたどり着くまで多忙を極めていたが、やっぱり仕事が楽しくてたまらない。

 さらにその先のシーズンに向けて全力でがんばれるよう、一段落をついた今、明日から少し長めの有休をとることにした。
 和也さんと夕食をともにしながら、いつものようにいろいろな話をする。

「私もどうしても欲しかったから、和柄のロングスカートを買っちゃった。韓国で和也さんが買ってくれた、白いブラウスとも相性がいいし。あっ、明日からの新婚旅行にも持っていくつもりなの」
「ずっと迷っていたからな。紗季は肌が白いから、あの深みのある色合いはよく似合うと思う」

 和也さんからそう言われると、うれしくて浮かれてしまう。
 片づけて終えて寝支度を整えると、明日に備えて今日は早めに寝ようと一緒にベッドに入った。

 新婚旅行の行き先はイタリアだ。もちろん観光がメインだけど、兄にも話していた通りファッションの本場でブティック巡りも予定している。考えただけで、ワクワクする。

 どんな旅になるのか想像をしているうちに、興奮して目が冴えてしまった。明日が楽しみで寝られないなんて、子どもみたいだ。

 寝返りを打って和也さんの方へ近づく。すでに寝ている、瞼を閉じた和也さんの顔をじっと見つめた。
 そのとき、不意に彼が私を抱き寄せた。どうやら無意識のようで、彼の穏やかな呼吸はわずかにも乱れない。
 それじゃあ遠慮なくと、和也さんの温もりを存分に感じさせてもらう。

 彼の胸もとに顔を埋めて思いっきり息を吸い込んだ途端に、胸が温かくなる。ここは私が一番安心できる場所だと、幸せを噛みしめた。
 こうしているうちに気分は静まり、少しずつまどろみ始める。

 意識が霞む中、最後の気力を振り絞って彼に抱き着くと、私を抱きしめる和也さんの腕にいっそうの力がこもった。



END
< 141 / 141 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:228

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
こちらの作品は、ベリーズ文庫2026年1月刊として刊行予定です。 修正前のものになりますので、書籍版とは内容が大きく異なる箇所があります。 書籍版では番外編も加わる予定ですので、そちらもお楽しみいただければと思います。 川島 悠里(かわしま ゆうり) 町工場の社長令嬢 × 柴崎 拓真(しばさき たくま) パイロット・大手航空会社の次期社長 父親をきっかけに知り合った男性に、だんだん惹かれて、恋をして。 けれど、情熱的な一夜を過ごした直後に彼の長期海外出張が決まり、 しばらく連絡を取るのも難しくなる。 その間に父は病に倒れ、 叔父に会社を乗っ取られてしまう。 横領の疑惑をかけられて、会社を追われて失意のどん底にいた中、 さらに妊娠が判明して…… 素敵なレビューをありがとうございます! 鮭ムニエル 様
俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
  • 書籍化作品
Yabe/著

総文字数/82,608

恋愛(純愛)110ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
来栖 真由香(くるす まゆか) 航空管制官 × 椎名 翔(しいな かける) パイロット 今は恋愛よりも、航空管制官の仕事をがんばりたい。 その気持ちに嘘はないけれど…… 癒しは必要!! 「好みの声に、耳もとで〝愛してる〟なんてささやかれたら、それだけで疲れも吹き飛んじゃいそう」 いつものカフェで、同僚と〝理想の声〟について熱く語る。 好みドンピシャの声を尋ねられて…… 「椎名さんの声で、四六時中愛をささやかれてみたい。そうしたら私……」 「好きなんだ、俺の声」 まさか、本人に聞かれているなんて思わなかった。 「それなら、ちょうどいい。俺と結婚してくれないか?」 そうして彼に持ち掛けられたのは、偽装結婚だった。
黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
  • 書籍化作品
Yabe/著

総文字数/113,200

恋愛(純愛)178ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
* * * * * * * * * * * * * * 「迷いはすべて吐き出して、俺のものになれ、依都」 * * * * * * * * * * * * * * 広瀬 依都(ひろせ えと)26歳 再開発反対派筆頭の孫娘 × 宇和島 弘毅(うわじま こうき)33歳 再開発請負会社の社長 実家が営む老舗旅館【糸貫庵】周辺は、 すっかりさびれて経営の危機に。 一部ではすでに再開発が始まっているが、 すべてを壊して新しく作り変えてしまうような案には賛成できない。 今こそ仕事を辞めて、実家に帰るべき!! そう意気込んでいた依都が出会ったのは、温厚で品行方正な…… という、とんでもなく分厚い猫を被った 再開発請負会社の社長・宇和島光毅。 糸貫庵を絶対に残したい依都。 反対派を取り込みたい光毅。 そこで光毅が提案したのは、 糸貫庵の名前と建物を残す代わりに、 旅館の支配人である依都の祖父を陥落させるための結婚だった。 わかっていますよ旦那さま。 私に求められている役割は、きっちりと果たさせていただきます。 もちろん、約束もちゃんと守ってもらいますからね。 だって私たち、WIN-WINの夫婦ですから。 素敵なレビューをありがとうございます! 鮭ムニエル 様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop