すべての愛を君だけに。

「何?」


「今日ずっとぼーっとしてる」


「そうか?」


「何かあったの?」






ソファーの後ろから俺の隣へ腰を下ろして、手に持ったビール感を差し出してくる。


明日は休日。
週末になるとお互いの家に泊まりに行っている。


今日は沙織が俺の家に来ていた。


ビール缶を受け取り、プルタブに人差し指をひっかけ飲み口を開ける。


喉が渇いていたのか一気に半分飲んだ。






「…別に、何もないよ」


「わたしに嘘、付けると思ってるの?」






体温の高い沙織の手が頬に添えられる。


風呂上がったばかりだから余計に熱い。


キリッとした瞳に見つめられる。


嘘は絶対に許さない、そう言われているようだった。



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