すべての愛を君だけに。
隠し事なんてない。
隠したところでこうやって沙織には何故かバレてしまう。
だからしない、そうお互いに約束していた。
でも、雨のこと…言えるはずがない。
じっと見つめられていると見透かされそうで、誤魔化すように唇にキスをした。
「俺が嘘つくように見えるのか?」
「すっごい見える」
「ひでーな」
笑う沙織にほっとして、もう1口ビールを流し込む。
隣でプシュッと間の開く音。
「あ、そうだ!歩、雨ちゃんとご飯、食べに行けないかな?」
“雨”
その言葉にドキッと心臓が鳴る。
今日の今日で沙織から雨の話が出てくると思っていなかったから変に反応してしまいそうになる。