すべての愛を君だけに。
湯川と天ヶ瀬だった。
この2人に雨の姿がないのは意外だった。
ほっとする自分と、少し残念に思う自分がいる。
2人に声をかける。
「おーい、もう帰」
「望月、先生…」
声をかけていたのに後ろから声をかけられた。
振り返る
「…雨」
俺より随分下の方で目と目が合う。
こんなに背、小さかったっけ。
油断していたから驚いて何か言いたいのに声が出ない。
「もう、帰る時間ですよね。すぐ片付けて帰ります」
久しぶりに合った視線はすぐに逸らされて、教室へと入っていった。
雨をまた目で追いかける。
教室で待っていた2人の元に駆け寄る。
天ヶ瀬は準備期間中で部活は休みなのだろう。
戻ってきた雨に天ヶ瀬が声をかける。