すべての愛を君だけに。

天ヶ瀬に笑いかける雨に胸がチクっと痛む。


あからさまに俺を避けるような行動に苛立った。


だから気づいたら






「比嘉、湯川、天ヶ瀬。…家まで送るから早く片付けろ」






そう3人に声をかけていた。


一斉にこちらを見られて何してるんだろうと我に返る。


何に苛立ってるんだろ。


自分がわからない。






「いいんですか?望月先生」


「ちょ…っ、慶くん」


「雨、いいじゃん。望月先生が送ってくれるって言ってるし。雨も降ってるからさ」


「…なーちゃんまで…」






2人の言葉に俯く雨を見て、なんとしてもこの状況から逃げたいと思っているのがわかった。


湯川が言う通り、さっきまで降っていなかったのに雨が降り出している。


3人に職員駐車場まで来るように言い教室を後にした。


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