すべての愛を君だけに。
観念したのか助手席に座って、ドアを閉める。
「シートベルト、ちゃんとしろよー」
バックミラーで湯川と天ヶ瀬がシートベルトをしたのを確認、雨もシートベルトを締める。
カバンを膝の上に置いてそれをじっと見つめていた。
ブレーキを踏んでエンジンボタンを押す。
「こっからだと誰が近いっけ」
「わたしですね、次は雨かな」
「最後は俺ですね」
「でも天ヶ瀬は逆方向じゃなかったか?」
「望月先生はどっち方面ですか?」
「比嘉の家の方」
「じゃあ雨が最後の方がいいんじゃないですか?」
湯川の言葉に雨が後ろを振り返る。