すべての愛を君だけに。
「わ、わたし……」
「雨?どうかした?」
「……何でもない」
天ヶ瀬の心配した声に雨は言い、前を向いてまたカバンを見つめるように俯いた。
湯川、天ヶ瀬、雨の順番に送り届けることに決め、車を発進させる。
雨はさっきよりも酷く振り続けている。
車内ではもうすぐ始まる文化祭の話題やその後に待っている期末考査の話、いろいろ話をした。
俺も話に交ざりながら運転しながら、たまに雨の方に視線をやる。
湯川や天ヶ瀬と話していても上の空。
必死にこっちを見まいとしているのが伝わりすぎるくらい伝わってくる。
しばらくして湯川の家に着き、雨と天ヶ瀬に挨拶、俺にお礼を言って車から降りていった。