すべての愛を君だけに。

そのうち天ヶ瀬の家にも到着した。






「望月先生、ありがとうございました」


「どういたしまして」


「雨、また明日な」


「……うん、また」






ドアを開け降りていく天ヶ瀬を車の中から見る雨。


濡れない玄関先で振り返り、雨に手を上げる天ヶ瀬に手を振っている雨の表情は見えない。


天ヶ瀬が家に入ったのを確認してアクセルを踏む。


2人きりの車の中
何を話すでもなくエンジンの音とが嫌に大きく聞こえた。


手元を見たり、外を見たり落ち着かない様子の雨になんて声をかけたらいいか分からなかった。


聞きたいことはたくさんある。


だけどそれを具体的に言葉にはできなかった。


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