すべての愛を君だけに。
迷ってるうちに雨の家に着く。
大学生の時や社会人になってからも何回か遊びに来た一軒家は当たり前だけど明かりは一つも付いていない。
玄関前に車を停め、パーキングに入れてサイドブレーキを引く。
車を叩きつける雨の音の中、やっと彼女の名前を呼ぶ。
「雨」
「…!」
「着いた」
ぼーっとしていた雨は名前を呼ばれて、窓の外を見る。
自分の家に着いたことに気づき、カバンを肩にかける。
車に乗ってから1回もこっちを見ない。
「あ、ありがとうございました…!」
今も。
急いで車から降りようとドアを開けようとする雨の手を掴む。