すべての愛を君だけに。

「はーい、そこまで」




掴まれていた手が離れていく。


またまた後ろから聞こえた声はとても聞き慣れていて、心地よくて、胸が痛くなった。






「あゆ……望月先生…」


「可愛いのはわかるけど俺の生徒、いじめないでくれる?」






笑っているけど…眼鏡の奥の目が笑ってないのと、眉間のシワがすごい。


望月先生がわたしを掴んでいた男の人の手を離す。






「別に悪いことしてないですよ、俺たちこの子に案内してもらおうと…」


「嫌がってるように見えるけど」


「そう見えただけじゃ…いたたたた!?」






プリン頭の人が大きな声で痛がって、わたしから離れていった変わりにふわっと煙草の匂いに包まれる。


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