すべての愛を君だけに。
そういえば慶くんに何するのって聞いても教えてくれなかったな…。
しかもここ、やけに女性のお客さんが多い…。
なんのお店してるんだろと思って、看板を見る間もなくなーちゃんに教室の中に背中を押される。
入った瞬間。
「おかえりなさい、お嬢様」
「お、お嬢…様?」
突然のことに目が点になる。
これは言わゆる…メイド喫茶、いや執事喫茶?
目の前の男の人はスーツをぴしっと着こなしてペコッと頭を下げている。
「ね、慶居る?」
「慶?…ああ、あっち…いや、あちらです。…慶っ!」
敬語で話さないといけないってルールなのかな。
慶くんを呼んだ目線の先にはひとつのテーブルを接客するこれまたスーツを来た人の後ろ姿が。