すべての愛を君だけに。
そういった時の歩ちゃんのしまったって顔。
さっきまでわたしを呆れた顔で見てたのにさっと顔を逸らされた。
「いや…廊下通ったらたまたま見た」
「声掛けてくれればよかったのに。てか、教室1番奥なのにたまたま来たの?」
「…中間の時も勉強してたろ、湯川と天ヶ瀬と。だからしてると思って言った」
「嘘つけー、見たって言ってた!」
「…聞き間違えだろ」
目を合わせようとしない歩ちゃんの顔が見たくて覗き込むけど、そうすればするほど顔を背ける。
ははーん…。
ちょっとからかってみよっ。
わたしは歩ちゃんに近づいて顔を寄せた。
「さては歩ちゃん…わたしのこと見に来てたんでしょ!」