すべての愛を君だけに。
楽しそうに話しているであろう沙織の口元。
対して雨は少し俯くようにして上の空のように沙織の話を聞いているようだった。
…何してるんだ?
2人が一緒に居ること、雨の様子から見て胸がざわざわと音をたてる。
だけど深く考えすぎなのかもしれない。
どっちにしろ雨に聞けばいい。
ドライブに行った日からHRや授業では会うものの、2人では会えていなかった。
雨からの連絡も無い。
会いたくなったら連絡しろって言ったのに。
毎日会いたいと思っているのは俺だけなのか…。
短くなった煙草を灰皿に押つけ、スマホを取り出す。
メッセージアプリの雨のトーク画面を開く。