すべての愛を君だけに。

俺に頼めばいいのに。


ソファーから立ち上がって雨の真後ろに立ち、食器棚に手をつく。


雨の背中に俺の胸が触れそうなほどわざと近づく。






「あ、歩ちゃん…?」


「どれ取ればいい?」


「へ……あ、あれ」






雨の指さした先にある皿を取る。


耳が赤い。


皿を持っていない方の手で、小さくて赤くなっている耳を撫でるように触る。






「…ひゃっ!?」






変な声を出し肩をびくっとさせた雨。


さっきより耳が赤くなってる気がする。
あー…可愛い。


ついこの前まで大切な姪だった。


それなのに嫉妬させられたり、会いたいって思わされたり、好きになったり。





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