すべての愛を君だけに。

雨の肩に額を乗せて目を閉じる。


心臓の音がする。
早く大きく打っているのがわかる。


抱き締めてるだけなのに。


そんなことを思っているとわしゃわしゃと髪の毛を撫で回される。






「なんだよ」


「…可愛いなーと思って」


「は?」


「いつも大人で余裕いっぱいの歩ちゃんなのに、甘えてくるの可愛いっ」






可愛いって俺男なんだけど。
しかも余裕いっぱいって…買いかぶりすぎ。


余裕があるように見せてるだけ、そう見えてるだけ。






「余裕はいつもないですけど」


「え?今なんて……っ!」






聞こえるか聞こえないかくらいの小さく呟いた後、着ている服を少しずらして首筋よりの肩にキツくキスをした。


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