すべての愛を君だけに。
「…ご、ごめんなさい…っ」
「雨!!」
後ろから歩ちゃんがわたしの名前を叫ぶ声がする。
でも振り返れなかった、痛いのに走る足を止められなかった。
怖い…。
なんでキスしてたのか。
歩ちゃんの口から聞くのが怖い。
「雨っ!」
どのくらい走ったか分からない。
気づいたら旧校舎まで来ていたわたしの手を掴んで尚も逃げようとするわたしを止める。
振り返ると歩ちゃんが居た。
今1番会いたくない人。
ほんとに嫌だ…。
「離して…っ」
「待って、雨聞いて」
「聞きたくないっ!」
掴まれた手を振りほどこうとしても、やっぱり男の人だから力が強い。
どう頑張ってもわたしの力では振りほどけなかった。
暴れるわたしを歩ちゃんは無理矢理胸の中に引き込んで抱き締める。