すべての愛を君だけに。

歩ちゃんがいつも吸ってる煙草の匂いがわたしを包む。


いつもならこのままずっとこうしてたい。
この匂いを近くで感じたいって思うけど、今はそれが出来ない。


頭に…さっきのシーンが焼き付いてる。






「やめて…っ、離してっ」


「雨が話聞いてくれるまで離さない」


「嫌だっ!」






歩ちゃんの胸を押したり、ドンドン叩いたりしてみるけど抱き締めて離してくれない。


今は一緒に居たくない。
何がどうなってるのか何も分からない…っ。


歩ちゃんがわたしの頬を両手で包んで、上を向かせる。


歩ちゃんは…苦しくて悲しそうな顔をしていた。


なんで…っ。
なんで歩ちゃんがそんな顔するの。


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