すべての愛を君だけに。
苦しいのも悲しいのもわたしだよ。
わたしじゃ…だめなのかな。
じわっと涙が溢れる。
とにかく逃げたい…。
1人になりたい。
だけど歩ちゃんは離さまいと、逃がさまいとわたしを見つめる。
…腹が立った。
沙織先生とキスしてたくせに、わたしのことを追いかけて話聞けって言ってきて抱き締めてきて。
沙織先生と…キスしてたくせに。
わたしとはしてくれないくせに。
やっぱり、わたしじゃだめなのかな。
そう思ったら、なんだかすごく腹が立って。
わたしは歩ちゃんのネクタイを掴んで引っ張った。
「…っ!」
驚いた顔の歩ちゃんの顔が近づく瞬間、わたしは目を閉じた。
歩ちゃんとの初めてのキスは、涙の味がした。