すべての愛を君だけに。
残酷な現実
「雨ー!ただいまー!」
大きな声が玄関から聞こえた休日の午後。
自分の部屋から1階へ降りると大きなキャリーバッグを引いたお母さんが玄関に立っていた。
「おかえりっ」
「雨ーっ、いい子にしてた?」
「…子どもじゃないんだから」
「あら、お母さんにとっては雨はずっとわたしの子どもよ」
まあそうだけど…。
もうすぐ高校3年生になるのに…。
そんなことを考えていると、玄関ドアが開いて今度はお父さんが入ってくる。
わたしを見るなり満面の笑みを浮かべて抱きついてくる。
「雨ー!久しぶりだなっ」
「お父さん…おかえり!」