すべての愛を君だけに。

すぐ真後ろから聞こえる声と、頭に少しの痛み。


振り返るとしゃがんでわたしを見る歩ちゃんがいた。


頭の上の痛みはチョップしているから。






「…なんだ歩ちゃんか…びっくりした」


「なんだじゃない」


「先生に見つかったかと思ったじゃん」


「俺、その先生なんだけど。…なーにしてんだ」


「何って……サボり?」


「堂々と言うな堂々と」






えへへ、と笑うわたしの隣によいしょっと座る。


足を伸ばして後ろに手をついた格好でわたしをまた見た。






「ただサボってるだけか?」


「うん」


「体調悪いとか、そういう事じゃないんだな?」


「全然、元気いっぱい」






わたしの返事に「ならよかった」と少し微笑む。


なになに…?
わたしを…心配してくれてる?


そう思うと嬉しくて…口角が上がってしまうのを必死で抑える。


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