すべての愛を君だけに。
…今すぐ抱き締めて欲しい。
煙草の匂いと体温に強く抱き締められたい。
でも…我慢、しなきゃ。
2人きりじゃない、お父さんもお母さんもいて。
バレたら…ダメなのにここで抱き締めて欲しくなる。
歩ちゃんは繋いでる手の力を強めた。
同じ気持ちだよ、て言ってくれているみたいに。
嫌だって言いそうになるのをぐっと抑える。
『月曜日、準備室おいで』
歩ちゃんが電話でそう言ってくれたのを思い出す。
月曜日…待てそうにないよ…。
「中、入ろうか」
「うん…」
繋いでいた手を離してわたしの背中へ添える。
優しくエスコートするように一緒にお店へと入った。