すべての愛を君だけに。

数日学校を休んで出勤すると、雨の退学手続きがされていることを知った。






『…雨は俺たちが連れて帰る』






兄貴の言っていたことが現実になっていた。


本当にもう会えないのか…。


教室にあるいつも雨が座っている席に、誰も座っていないのを見る度に体の力が抜けていく。


心ここに在らずでなんとか授業をこなす。


休んでいた分の作業を終わらせて駐車場に車を停めたのは23時を過ぎた頃。


……家の中の電気が付いている。
雨のはずないのに居て欲しいと、期待をしている。






「おかえり」






もう何もかもどうでもよかった。


そう微笑むのは沙織で、雨じゃなかった。


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