すべての愛を君だけに。

溢れてしまいそうな涙を両手でわたしの頬を包んだ歩ちゃんが親指で拭う。


切ないくらいずっと見つめ合っていた後、どちらからともなく唇を重ねた。


柔らかくて、少し冷たい歩ちゃんの唇が触れていたのは一瞬だけ。


鼻が触れてしまいそうなくらいの距離でまた見つめ合う。


歩ちゃんは片方の手をわたしの頭の後ろにまわし、グッと自分の方に寄せてまたキスをした。






「……っ、」






今度は一瞬なんかじゃない、忘れられなくなるくらい深いキス。


人が居ることなんてお構いなしに、わたし達は何度も…何度もキスをしていた。






「あゆ…っ」


「もっと」






呼吸をするタイミングが分からないくらいのキスに頭がクラクラする。


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