すべての愛を君だけに。
でもやめて欲しくないのはわたしも歩ちゃんと同じ気持ち。
必死にコートを掴んで歩ちゃんに合わせた。
苦しい、でも嬉しい。
このまま呼吸ができなくなるまで塞いでいて欲しい。
歩ちゃんも頭の後ろに回した手をより強く自分の方へ寄せるように力を入れる。
「……んっ!」
「顔赤くしすぎ」
長い間そうしていたような。
だけど離れる時はやっぱり名残惜しくて。
見つめる先には歩ちゃんが居る。
やっと、やっと会えた。
「ごめん、遅くなって」
「ううん…っ、でもどうしてここに…」
「湯川が教えてくれた」
その言葉に胸が熱くなる。
なーちゃん、が。