すべての愛を君だけに。
わたしも歩ちゃんも話したいことはたくさんあるはずなのに、抱き締め合って見つめ合って笑い合って。
時々、キスをするだけでほとんど何もしゃべらなかった。
いつまでも続かないのに…続くような気がしていた。
「出発便のご案内をいたします。9時30分発、236便は、ただいま皆様を機内へとご案内中でございます。9時30分発、236便をご利用のお客様は保安検査場をお通りになり……」
わたしが乗る飛行機の案内アナウンス聞こえた。
だけどその場から動けない、動きたくない。
お母さんに絶対戻るって約束したのに…どうしても離れなくない。
歩ちゃんがわたしの耳元でわたしの名前を呼ぶけれど、歩ちゃんも私を離そうとはしなかった。