すべての愛を君だけに。

そのうちアナウンスは最終案内へと変わった。


お母さんとお父さんとわたしの名前が空港中に響き渡る。


お父さん達も…待ってくれてる。
帰るって約束した、それを信じてお母さんはわたしを歩ちゃんに会わせてくれた。


わたしは最後に歩ちゃんの胸の中で大きく深呼吸をした。
そしてゆっくりと体を離す。


わたし今、どんな顔してるかな。
歩ちゃんみたいに…今にも泣きそうな顔してるのかな。






「雨…もう、会わない」


「……やだ…っ」






首を振って泣き出すわたしを、泣くのを我慢している歩ちゃんが微笑みながら言う。


右手は手を絡めて繋ぎ、左手はわたしの頬へ。


優しく…優しく撫でてくれる。


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