すべての愛を君だけに。
「ちょっと、天ヶ瀬くん笑いすぎ!」
「ごめんごめん…っ、いやだって、名前にダジャレつけるって面白くてさ…ははっ」
ここまで笑ってるの初めて見たかも。
目元に浮かんだ涙を指で拭ってふー…っと自分を落ち着かせた天ヶ瀬くんは、微笑んでわたしの手を取る。
「でも、雨っていい名前だと思う」
「ほんと?…この名前のせいで中学の卒業式も高校の入学式も雨だったけど」
「確かに入学式、雨降ってたような…」
「でしょ?…わたしにとっての大事な日は雨が降るの」
「じゃあ今日も雨降ったから大事な日ってこと?」
向かい合って、私の両手を握る天ヶ瀬くんの表情はなんだか大人っぽく見えた。