迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです

「これから、同僚の見舞いに行くんです」

　先ほど病院へ向かうと聞いて、そうだろうなと想像はしていたので「そうなんですね」と相槌を打つ。

　妙な空気になったので気を使って話題を提供してくれたのかもしれない。心配りができる親切な人だ。

「業務中の事故で入院したんですけど、来るならここのケーキを買ってこいと言われて」

「同僚の方は、普段から、うちのケーキを食べてくださっているんですか？」

「そうみたいです」

「えー、嬉しい！」

　感激して、つい素の自分が顔を出してしまった。子どもっぽい反応をした自分が恥ずかしくなって顔に熱が集まってくる。そんな私を見守る男性は穏やかな微笑みを浮かべていて、大人の男性といった感じだ。

　ベージュのシャツに黒のカーディガンを羽織り、黒のスラックスを穿いている姿からは何の職種なのかまったく想像がつかないけれど、事故が起きるような環境なら現場仕事だろうか。