迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 秋が過ぎ去り、初冬の空気は肌を刺すような寒さだ。

 起きてからずっとドキドキが治まらず、緊張から縮こまっている背をぐっと伸ばした。

 今日のために用意したアイボリーのニットワンピースと、甘すぎにならにように大人っぽいグレンチェックのツイードジャケット羽織った。歩きやすいようにヒールのないローファーにして、髪はハーフアップにまとめた。

 ちょっと気合い入れすぎたかな。いや、でも、これくらいあざとさを狙っていかないと、橙吾さんの隣を白昼堂々歩けない。

 メイクもいつもより濃くしちゃったけど、橙吾さんの好みはどんな感じなのだろう。

 脈絡なく告白をされたときは青天の霹靂だったし現実感がなかった。

 橙吾さんを素敵な男性とは思っていても、恋愛を含んだ好きという感情を持っているのか自信がなく。だから付き合ってからの二、三日はこれで本当によかったのかと自問自答して、自分の気持ちが迷子になっていた。

 それが毎日送ってくれる思いやりのあるメッセージや、疲れている心身に優しい声で語りかけてくれる電話が心地よくて、どんどん想いが膨らんで手を焼くほどになっていった。

 今では私の方が好きという気持ちが大きいはず。
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