迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 たった二週間でここまで心境の変化があったと説明できる機会はなかったし、告白されたときけっこうつれない態度を取ってしまった気がするので、どうにか挽回したいのに。

 橙吾さんが好きだと伝えたいのに伝えられない焦燥感でむずむずしている。

 待ち合わせの十時半より十分前に出たのに、一分も待たないうちに橙吾さんの車が流れるように私の前に停まった。

 黒のSUV車があまりにも似合っていて見惚れてしまう。運転席から颯爽と降りた橙吾さんは、私の顔を見て眉尻を下げた。

「どうしてこんなに早く出てきた。桃花は暖かい部屋で待っていればいいんだよ」

 交際してから初めて食事に行った際、敬語をなしにしてほしいと言われた。あと、桃花と呼びたいとも。呼び捨ての方がしっくりくるけれど、まだ慣れなくて呼ばれるたびに胸が高鳴る。

 それにこうやって私を大切にしようとする言動が日常的にあるから、心臓がいくつあっても足りない。
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