迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「桃花は?」

「……私も、母親似」

「そうか。綺麗な人なんだろうな」

 無理やり口角を上げて笑顔をはりつける。

 両親はすでに他界していて、まだ事実を橙吾さんに伝えられていない。言いづらいのはその死因にあるからだ。

 両親が火災事故で亡くなっていると知ったら、橙吾さんはどんな反応をするだろう。きっと複雑な心境になるはずだから、あまり楽しい雰囲気のときに話したくない。

「向こうに着いたら、まずはご飯かな?」

 なんにせよ今ではないと判断して話題を切り替える。

「そうだな。温泉街で食べ歩きをするか、老舗の食事処に入るか、どっちがいい?」

 究極の二択だ。決められなくて唸り声を上げると、橙吾さんがクスクスと笑う。

「歩きながら決めるか」

「うんっ!」

 勢いよく頷く。

「私ね、橙吾さんの引っ張ってくれるところ好き」

 頼っていいのだと安心する。

「ありがとう」

 ひと言だけしか返ってこなかったけれど、声音から橙吾さんの感情が透けて見えたので気にしない。喜んでもらえているから、また次も素直に気持ちを伝えようと思える。
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