迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「楽しみで、待ちきれなくて」

 昨日の夜からずっと落ち着かなかった。早めに休もうとベッドに入っても目が冴えていて眠るのにけっこう苦労したのだ。

「桃花は本当に可愛いな。熱が出なくてよかったよ」

「……小学生じゃないんだから」

 さらりと可愛いと言われ、心臓が大きく飛び跳ねたせいで声が小さくなる。

 橙吾さんは私の荷物を載せると、助手席のドアを開けて誘導してくれた。

 宿はここから車で一時間半ほどの距離で、温泉地として有名なところだ。この車は橙吾さんのもので、仕事がある日は基本的に乗らず、休日にドライブするときに乗っているらしい。

 いつもは緊張して直視できない端正な横顔を見つめる。運転している姿もあいまって、今日も溜め息が出そうなほどカッコいい。

「どうした?」

 ちらりとだけ目線を送ってきた橙吾さんは不思議そうな表情だ。

「綺麗な顔立ちだなぁと思って。橙吾さんはお父さん似? お母さん似?」

 橙吾さんは、ごほんっと咳払いをして「母親かな」と呟いた。

 たぶん照れている。普段は威風堂々としているからこそ、時折見せるシャイな部分がギャップを感じさせる。
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